ゆくゴスくるゴス

ゆく年くる年 まだ仕事してまーす!

30日は例年通りご来店が多く。帰省前に、ご旅行の際に、東京に戻られて、大掃除で見つけ出しちゃった、新年前に古いものを新しくして、などなど

今日のタイトル ゆくゴスくるゴス

なんのこっちゃなタイトルはまずは読んでから。長いです。

ゆくゴス:今年ご依頼いただいたゴスブーツ

「何系なんですか?」「ゴスです。」=ゴスブーツ そのまんまのネーミングです。

Before

ソール、ヒール共に全体を厚底にしたい、というご要望です。元々の作りがセメント製法なので、厚底に耐えうるようミッドソールをマッケイで縫い上げ、それを基礎・土台として、ご要望の厚さまで組み上げていきます。

はがれた部分を圧着して、厚さを出しても、土台が遅かれ早かれ重さと厚さに耐えられず壊れますので、今後は安心して履けるように、基礎は一から作り直します。厚底はしっかりした作りにしてあげないと、地面と自分の足との距離がとてもあるので歩行中に壊れると怪我をする可能性があるからです。

まとめ:一から作り直しということです!

さすがに私うかがいました、「なぜ当店にご依頼なんでしょうか?」と。「ブログを拝見して」「いやいやいや、こういう感じはブログに載ってませんでしたよね?(いろいろ大変だったり、マニアックなリペアはこれまでたくさんあるんですけど、ブログに載せてしまうと、もっとすごいのがくるので控えてます)」「できそうだと感じたんです。」

私、絶句。

その後、この一言で再絶句。

コブラー「ええ、できますよ。ロンドン(カムデンタウン)でもよくご依頼があったんで。どのくらい盛りましょうか?」

私「(絶句から回復しながら)・・・ もしかしてあの人??」

コブラー「そう、カムデンのゴス姉 こと サイバー花魁」

この方、見た目が2メートル級です。背が高い+コブラーに作ってもらった厚底を履いているからです。顔ピと耳ピアスを幾重にもチェーンでつなぎ、髪型はサイバーゴス系のレインボーブレイズ(たくさーんの細い三つ編みのことですよ、お父さん)。服装は黒ずくめではなく赤地に黒い水玉などわりと派手め。そして、お顔はそれがまた、世にも美しいのです。すごーーい、綺麗なんですよ。

サイバー花魁のご依頼は、こんな感じです。

ハイブランド(マノロなど)のデザインが綺麗で自分好みのピンヒールをまずチョップ、ヒール部分を取りはずします。そしてその部分が平らになるまで盛っていき、まずは第一弾とばかりに厚底にします。

ある程度の期間が立つとご来店。うちのコブラーを呼び出します(他のコブラーでは話が通じない、理解してくれないため)。

「どう?いいでしょう?」「いいわね!でもまだ厚くできるかしら?」「じゃあ、20mmアップ(一番厚いEVA素材)!」「うーん、もういっちょう!」みたいな会話が X 来店3回くらい続きます。

そして、彼女が納得する厚底サイバーゴスシューズが完成するのです。

「そんなに厚いと歩くとき大変でしょ?快適に歩くことが目的じゃないだろうけど。」「そうね、でもあなたジャパニーズだからわかると思うわ。ほら、OIRAN」といって彼女はみごとな花魁歩きを店内で披露してくれたのでした。

所変われば品変わるというか。感心しました。花魁がゴスの厚底に貢献するとは!

After

ソールやヒールの形は変えずに、ジョージコックス6番ソールくらいの厚さ+必然的にヒールはもっと高く というご依頼でした。

全体はEVAという素材で組むのですが、今後交換するヒール部分はEVAよりは固く、トップリフトとしては柔らかいPhillipsにして変形ヒールを交換しやすくします。

オリジナルの画像をよーく見ていただくと、オリジナルはエッジのトリムが直角(直線)で、まるで角刈りです。

コブラーのトリムはRがあります。これはカーブをかけているからです。そうすることで形そのものを強調し、シェイプすることでかたちそのものを引き出し、引き締めているのです。

注意:画像中のカーブ線が若干おかしいのは私にフォトショップ的センスがないためです。すみません。

マシーンで組む厚さはだいたいここまでが限界です。マシーンのトリムの幅の限界がジョージコックスでいうと、(ないけど)7番ソールくらいまでです。

これ以上の厚さになると、1段(1枚)ずつ、完全にトリムを取り、重ねて組み上げる方法しかありません。くだんのサイバー花魁にはこの方法で作っていました。

ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

そして、くるゴス

くるゴス:来年ご依頼いただくゴスブーツ

ゆくゴスブーツ、あれからまたお考えいただいた結果、まだ厚く出来ますか?とのこと。上記の件をご説明し、1段ずつ組んでいく方法ですと可能です、と。

た・だ・し!

ただ厚くして欲しいわけじゃなく、また変わった感じで盛りたいらしく(笑)

ソールの厚さはできます、と。ただ、その盛り方でヒールを組むのは危険というかリスクが高いので(やったはいいけど30秒で壊れるのは作る方としてもイヤなので)、ヒールに関してはこちらのご提案で納得していただけました。

これからご依頼いただく方へですが、シュミレーション、イマジネーション、妄想、空想、なんでもしていただいて構いません。できれば色々お考えいただきたい。

ただ人間技でできる限界と、マシーンの関係と、そのブーツやシューズもともとの構造や素材など諸条件によっては不可能(リスキー含め)な場合もございます。

もちろんお客様のご要望を元にプロからご説明やアドバイスいたしますので、今年の冬休みはイマジネーションが初夢になるくらい妄想してくださーい!!

みなさま、今年もありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。

良いお年をお過ごし下さい!!

COBBLER NEXT DOOR

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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