I think it’s a shoe

Kinky Bootsという、実話をベースにした映画をご存知ですか?

 

靴の聖地、イギリスノーザンプトンで100年以上続いた家族経営のシューメーカーが、量産履き捨てな時代に立ち向かい、ドラァグクイーン用に、つまり男性サイズで、でもセクシーで、なおかつヒールも頑丈な女性物の靴を作り、経営を立て直そうと奮闘するドラマです。

笑いあり、涙あり。好きな映画の一つです。

今回のタイトルは、子供の頃の主人公チャーリーと父の会話からです。

Dad「チャーリー、世界一美しいものを見せよう。何だと思う?」

Charlie 「靴さ!」

Dad「春の樫の木と多くの人は言う。。。」

Charlie「靴だよ!」

Dad 「森一面の花と多くの人は言う。。。」

Charlie「靴だよ!!」

Dad 「私も、靴だと思う(I think it’s a shoe)」

シューズを作る工程も映画の中で何度も出てきますが、この会話のとおり、靴が美しいんです。そして、作る人、履く人があらわれる、心があらわれるものなのではないのか、と。

父の急死で、シューファクトリーを継ぐことになったCharlieが、古参の職人にコートを着せられる場面があります。上の画像で、カーキのコートを着ているのがCharlieです。

下の画像のコートは、 1940年台のヴィンテージですが、自分がロンドンで働いている頃から着続けているタイプです。コートはヴィンテージだけではなく、現行品も買いますが、袖の仕様は必ずチェックしています。現行品も長く使われ続けているものだからこそ、今もなおコート自体の仕様が作業に適していて重宝しています。

どの仕様が重要かというと、袖にご注目。ボタンやそれに伴う付属品がないんですね。

なぜかというと、ボタンなどの突起物がある袖ですと、マシーンに挟み込まれたり、何かに引っかかって作業しづらいからです。

ロンドン時代、新人さんがそのことを知らず、袖にボタンの付いたジャケットで作業中に高回転するマシーンにボタンが引っかかり、あわや手首切断寸前で大騒ぎになったことがあります。

危険と隣合わせの職業であるからこそ、おしゃれだけではなく、コートも職業に合った専用のものが必要なんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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